こたつ島ブログ

書き手 佐藤拓実(美術家)

天塩川日記⑩

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(恩根内のふきのとう) 

 

 の続きです。恩根内から札幌へ帰ります。そのまえに少し寄り道をしました。

 

 

 

2019.5.10.

  

 

 

 ・恩根内の朝

 

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(恩根内のミズバショウ

 

 滞在最終日の10日目。

 前日の晩はよく寝られず。時間がもったいないと思い4時半に起床、荷物をまとめる。

 5時過ぎから絵を描きに外へ出た。アートヴィレッジすぐ近くの湿地に生えたミズバショウフキノトウを描いた。

 6時過ぎからご飯を食べ、7時には札幌に向けて出発する。

 工藤さんご夫婦がコーヒーを淹れてお見送りしてくれた。これを飲めば目が覚めそうだ。

 

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士別市内のバス停はサフォークがモチーフ)

 

 車の窓から見る空は曇り、山の上の方に雲がかかっている。

 札幌に戻るとはいえ、まだ制作は終わらない。途中、滝上町の方をぐるっと回って上川町、愛別町を抜けて天塩岳の姿を見て帰ることにした。

 

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 美深から名寄を抜け士別に入り、再び岩尾内湖の横を通る。愛別町の方へ向かわず、滝上町の方へ向かう山道を進む。

 9時半ころ、似峡川にかかる不動橋あたりで少し車を停めた。あたりにたくさん生えていたエゾエンゴサクを描いた。雲行きが怪しくなってきた。

 運転している大友さんのとなりでうつらうつらして、つい寝てしまった。

 

 

 

 ・天塩岳を探して

 

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天塩岳?)

 

 車中からあたりを見てグーグルマップと比べながら、天塩岳らしき山の姿を探しながら走った。

 10時ころ、気が付くと滝上町に居た。学部生のころボランティア活動で来て数日間滞在したことがあり、見覚えのある懐かしい街並みだ。とうとう、ぽつぽつと雨が降ってきた。

  

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 滝上町から南下。10時半前、滝上町滝西手前にて天塩岳らしい山脈を見るも確信が持てず。もう少しベストな風景を探して進む。
 一瞬、雹が降ってきた
  

 なかなかちょうどいい具合に天塩岳の姿を拝める場所はみつからず、近づき過ぎて手前の山に阻まれ、だんだん見えなくなってきた。これはまずい。もう一枚くらい絵を描きたい・・・。

  

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(浮島トンネル近くのふきのとう)

 
 273号を通り、11時ころに浮島トンネルを通過。

 上川町に出た。このあたりはもう石狩川流域である。もう天塩岳の姿は拝めないのか・・・と半ばあきらめつつ、それでもずっとiphoneとにらめっこしながら、窓の外の風景と周囲の山並みとを見比べていた。

 

 11時半前 、石北線の安足間(あんたろま)駅あたりで、ちらっとそれらしい山が見えた。大友さんに頼んで更によく見えそうなところを探す。少し近づいて見る。石狩川が流れるすぐ近く、山と山の間から雪を載せた山頂がちょうど覗いている場所があった。方角と大きさからして、あれはどうやら天塩岳らしい、ということになった。

 

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(安足間) 

 

 車を停めて「これで天塩川を辿る旅もとうとう終わりか・・・」と思いながら山並みを描く。手が追い付かないほど雲の動きがはやい。いつのまにか雨が降ってきて次第に強まってきた。水彩絵の具が流れてしまう前に車中に避難して仕上げた。こんな終わり方もまた、天候には恵まれていなかった今回の滞在に似つかわしいのかもしれないと思う。

 13時前には描き終えて、旭川へ。

 

 

・札幌へ

 

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(つゆが多いラーメン)

 
 旭川の「ゆるキャラ」の「あさっぴー」の話などしながら旭川の道の駅に着いた。おみやげを物色し、ラーメンを食べた。スープの量が多すぎてちょっとこぼしてしまった。

 

 14時半前に札幌へ向け出発。

 だんだんと見覚えのある風景が見えてくる。札幌は雨は降っていなかった。16時ころには無事到着し大友さんと別れた。

 10日間の滞在はこれで無事終了。

 

 

 (終)