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2016年 冬の札幌の展覧会 映像ミュージアム フィオナ・タン ―どこにいても客人として― (北海道立近代美術館 講堂)  

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 毎年開催している映像ミュージアム。以前は文化の日に合わせていたが、移動したようだ。座席は6~7割埋まっている感じ。うーん・・・(もっと人が入ればいいのに)。
 フィオナ・タンはインドネシアの華僑の父とスコットランド系オーストラリア人の母の下に生まれアイデンティティや写真などの記録に関する映像作品を主に発表している。
 上映作品は、世界に散らばった親戚たちへのインタビューを中心にタンの父方のルーツをたどった「興味深い時代を生きますように」と、写真を用いるアーティストなどにインタビューしながらイメージや真実について考察する「影の王国」の二つ。
 
 またこの日は評論家・市原研太郎氏によるレクチャーもあった。
 内容としては、アジアとヨーロッパにルーツをもつタンのアイデンティティは、どちらに属しているとも属していないともいえるもので、作品中でも「プロの外国人」という表現があるように、「どこにいても客人」である。そのようなタンの作品は、アイデンティティのあいまいさを逆手にとってそこからの解放をめざしているように見え、多文化主義でありアイデンティティの確立が難しい今日には有効ではないかと考えられ、また、その曖昧さは、虚構と現実のないまぜになった今日の映像の状況とも関係し、フェミニズムの観点からも新しい女性像を描くものとして解釈できる、という話だった、と私は受け取った。
 短い時間ながら、タンの作品や関連作品も紹介され、たぶん厳密な議論ではなかったとは思うが(この点に関して来場者から批判があった)、タンの作品を考える上での大まかな参考になるレクチャーだったとは思う。