こたつ島ブログ

書き手 佐藤拓実(美術家)

展覧会の感想

2022年まとめ(ベスト3展覧会とニュースと訃報)

(大阪・住吉大社) 2022年を独断と偏見で振り返ります。 ○目次 ●展示の評価 ●2022年・個人的展覧会ベスト3 ●そのほか良かった展示 ●2022年のニュースと訃報、見た展示まとめ ●2022年の個人的な振り返りと2023年の展望 ●展示の評価 この記事では2022年に開…

2021年度卒展面白かった作品・研究①東北芸工大編

東北芸術工科大学の卒業制作展(正式名称は東北芸術工科大学卒業/修了研究・制作展2021、以下では卒業制作展もしくは卒展とする)に初めて行った。関東以北ではおそらく最も有名な、美術系のコースがある大学だ。他の美術系大学に比べると歴史はやや浅いが…

岩手県立博物館の常設展とテーマ展「教科書と違う岩手の歴史」後編

前編の続き。岩手県立博物館のテーマ展示室へ向かう。 kotatusima.hatenablog.com ・「教科書と違う岩手の歴史ー岩手の弥生~古墳時代ー」の概要 今回、博物館にわざわざ来たのはテーマ展「教科書と違う岩手の歴史ー岩手の弥生~古墳時代ー」を見たいがため…

岩手県立博物館の常設展とテーマ展「教科書と違う岩手の歴史」前編

先日、岩手県立博物館へ初めて行った。地質・考古・歴史・民俗・生物などの資料が展示されている総合博物館だ。2021年11月23日 から2022年2月6日 まで開催されていたテーマ展「教科書と違う岩手の歴史ー岩手の弥生~古墳時代ー」に興味を惹かれたのがきっか…

備忘録・2021年前半

2021年前半の備忘録。昨年からの新型コロナウイルス蔓延は収束が見えず、反対の声も上がる中オリンピック開催とそれにまつわる数多の不祥事に加え、アート関連ではアーツ前橋の作品紛失問題、アートの現場でのハラスメント被害告発、「あいトリ」きっかけの…

備忘録・2020年後半の良かった美術展と2020年のまとめ

・2020年前半はこちら→(備忘録・2020 年前半の良かった美術展 - こたつ島ブログ ) ・7月 レジ袋有料化開始、球磨川の氾濫に代表される西日本の豪雨、「盗めるアート展」などがあった7月。まだギャラリーや美術館の予約制にも慣れず、見る側も見せる側もま…

ヨコハマトリエンナーレ2017の個人的感想②

(BankARTstudioNYKから赤レンガ倉庫を見る) ①の続き。 「BankARTLifeV 観光」と同時開催の「日産アートアワード2017」、ヨコトリの横浜赤レンガ倉庫1号館会場、「黄金町バザール2017」の一部について、特に気になった作品のみ感想をかきたい。 まずは移転…

ヨコハマトリエンナーレ2017の個人的感想①

「ヨコハマトリエンナーレ2017-島と星座とガラパゴスー」(以下横トリ)に行った。同時開催の「BankARTLifeV 観光」や「黄金町バザール2017」の一部も見てきた。横浜には何度も来ているが、トリエンナーレ鑑賞は今回が初めて。 「島と星座とガラパゴス」と…

札幌国際芸術祭2017(SIAF2017)見聞⑦

⑥の続き。もうこの日はほとんど芸術祭に関係する展示は見ていない。エピローグ的な記事だと思ってもらえれば。 目次 1.円山公園へ 2.宮永亮「RECIPROCAL」 3.東方悠平「ガーデニング」 4.相原信洋作品上映会など 8月19日 1.円山公園へ 朝から再び…

札幌国際芸術祭2017(SIAF2017)見聞⑥

⑤の続きです。 目次 1.北海道大学総合博物館の展示 2.りんご 3.梅田哲也ライブパフォーマンス 8月18日③ 1.北海道大学総合博物館の展示 展示タイトルは「火ノ刺繍ー『石狩シーツ』の先へ」。詩人、吉増剛造の展示である。部屋に入る手前にコンセプト…

札幌国際芸術祭2017(SIAF2017)見聞⑤

④の続き。 目次 1.モエレ沼公園ガラスのピラミッドへ 2.ガラスのピラミッド二階 3.ガラスのピラミッドその他 4.モエレ山へ 8月18日② 1.モエレ沼公園ガラスのピラミッドへ モエレ沼公園での展示は「RE/PLAY/SCAPE」というタイトルだ。 この公園が…

「奈良美智 for better or worse 」2017年7月15日~9月24日 豊田市美術館(愛知県豊田市)

「奈良美智 for better or worse 」を見た。2017年7月15日から9月24日まで。愛知県へも豊田市美術館へも初めて行った。 (公式サイト:http://www.museum.toyota.aichi.jp/exhibition/2017/special/narayoshitomo.html) (参考、会場写真が載っている記事:…

札幌国際芸術祭2017(SIAF2017)見聞④

③の続き。個人的には今回のSIAFのハイライトの日。予定が途中で変わったりして慌ただしく盛りだくさんな一日だった。 展示のネタバレを含むので以下閲覧注意。 目次 1.札幌市立大「そよぎ またはエコー」 2.芸術の森美術館 3.野外美術館 4.工芸館 5…

札幌国際芸術祭2017(SIAF2017)見聞③  

②の続き。次は日を改め札幌彫刻美術館の展示から。ちょっと長い文章になってしまった。 以下ネタバレ注意。 目次 1.本郷新記念札幌彫刻美術館「家族の肖像」 2.宮の森美術館 3.円山動物園 4.札幌市資料館へ 5.CAI02 6.すすきの会場 8月17日 1.…

札幌国際芸術祭2017(SIAF2017)見聞②

(金市館の受付) ①の続き。札幌国際芸術祭を見ました。その記録です。まだまだ一日は終わらない。 以下ネタバレ注意。 目次 1.金市館の展示 2.500m美術館「シュプールを追いかけて」 3.HUG さわひらき「うろ・うろ・うろ」 4.DJ盆踊り 8月14日 ② …

札幌国際芸術祭2017(SIAF2017)見聞①

目次 1.札幌国際芸術祭2017の概要 2.JRタワープラニスホールまで 3.大丸 4.「大漁居酒屋てっちゃん」の店内ツアー 5.金市館ビルへ 1.札幌国際芸術祭2017の概要 札幌国際芸術祭2017(略称:SIAF2017)が開幕した。三年に一度のトリ…

「草間彌生 わが永遠の魂」2017年2月22日~5月22日 国立新美術館(東京都六本木)

国立新美術館で「草間弥生 わが永遠の魂」を見た。草間作品をまとめて見たのは初めて。 (チケット) 展示構成は次のようになっている。 最初にまず近作の富士山の絵がある。私はこの絵はあまりいいと思えなかったので期待せず次に行くと、奥行きのある大き…

「野又圭司 展 脱出〜困難な未来を生きるために〜」  2016年10月5日〜12月4日 本郷新記念札幌彫刻美術館(札幌市) 

ずっと野又さんの個展を見たかったのだが、いつも機会を逃していた。やっと念願叶った。 野又圭司 氏(1963〜)は函館市生まれ岩見沢市在住の彫刻家。北海道大学文学部哲学科を卒業後、1980年代後半から本格的に創作活動を始めた。自己の内面を反映したボック…

「チャリティ展 夕張市美術館コレクション〜炭都・夕張の美術遺産」2016年10月8日(土)〜10月30日(日) プラニスホール(札幌市)

1979年に開館した夕張市立美術館は、 道内では網走に次いで二番目の市立美術館だ。 私が小学生だった頃、夕張に家族で遊びに行き、一度中をちらっと覗いたことがある。その時は確か白黒の写真や佐藤忠良の彫刻があった。古めかしい建物だった。 2012年、美術…

五美大展で気がついた いくつかのこと

五美大展を初めて見た。 改めて確認すると、多摩美大、武蔵野美大、女子美大、東京造形大、日大芸術学部が参加。国立新美術館で展示される他、各大学の大学美術館等でも卒展は行われる。五美大展は簡易縮小版と言ったところか?絵画や彫刻の展示のみで、デザ…

2016年 冬の札幌の展覧会 森山大道 NORTHERN (札幌宮の森美術館)

1978年に北海道で撮られたモノクロ写真と、2009年から2010年にかけて撮られたカラー写真の展示。撮影風景のスライドや展覧会のトークショーの記録映像も見られる。 感想を考えながら見ていたが、うまく言語化できない。わからないなりに感想を書…

2016年 冬の札幌の展覧会 映像ミュージアム フィオナ・タン ―どこにいても客人として― (北海道立近代美術館 講堂)  

毎年開催している映像ミュージアム。以前は文化の日に合わせていたが、移動したようだ。座席は6~7割埋まっている感じ。うーん・・・(もっと人が入ればいいのに)。 フィオナ・タンはインドネシアの華僑の父とスコットランド系オーストラリア人の母の下に…

2016年 冬の札幌の展覧会 札幌美術展 モーション/エモーション ―活性の都市― (札幌芸術の森美術館)

1948年から続く「札幌美術展」シリーズ。 モーションとは物理的な動き(動作)、エモーションとは心の動き(感動)である。活性とは機能や効率が向上したり、反応が活発だったりすることである。この展覧会では生命体のように活動を続ける都市をテーマと…

以前見た展覧会の感想 「夷酋列像 蝦夷地イメージをめぐる人・物・世界」展    ―旧北海道開拓記念館は北海道博物館になれるか?ー

・「北海道開拓記念館」のリニューアル展 「北海道開拓記念館」がリニューアルし「北海道博物館」になった記念に開催された「夷酋列像 蝦夷地イメージをめぐる人・物・世界」展を見に行った。この展示は巡回し、国立歴史民俗博物館でも行われる。 旧北海道開…

以前見た展覧会の感想 春画展(永青文庫)―春画を見慣れる日―

・春画展へ行く ここ数年で最も話題になった美術展と言っても過言ではない「春画展」。混むと聞いていたのでわざわざ平日の朝一番で行ったにも関わらず、開館前には既に30人以上並んでいた。土日でなくとも毎日2000人の入場者があるという。 今回の展示は…